BTL出力の波形観測:簡易型差動プローブを作ってみました。
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BTLアンプは両極ともグランド(回路図のGND)に対し浮いているのでオシロスコープの測定は厄介です。 本来オシロスコープのGND端子(みのむしクリップ側)は被測定物のGND(接地極)にだけにしか接続できません。これは試験者の人体への感電危険や被測定物・オシロスコープの破壊を避けるために重要です。 プローブGNDはオシロスコープ本体のGND(筐体)とつながっていますの高電位に接続するとオシロスコープ自体が高電位になり触ると感電します。(最近はプラスチックケースのオシロスコープが多いですので感電危険に関しては少しは安心ですが・・・。) 同時に複数本のプローブを繋ぐ場合(2~4チャンネル同時観測)GNDクリップは全てオシロスコープ筐体に接続されます。クリップ全てが被測定物のGNDに接続されていれば良いのですが電位を持った部分に接続されるとショートします。 |
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この問題を避けるには差動プローブを使用すればよいのですがとても高額です。 そこで差動プローブを作ってみようと考えました。測定対象をオーディオ帯域、数百mV~20V程度、精度は数%程度、そこそこの波形観測が出来れば良いことにすれば作成可能です。 教科書通りの計装アンプを作りました。オペアンプ2回路タイプです。 |
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動作確認 入力440Hz 26v P-P、オペアンプはLM358、CH1は未接続、CH2は入力、CH3,4は作成した差動プローブの出力。電源電圧 5Vでの動作、電源電圧の都合上、波形上下が飽和により大きく切れています。上下で 波形が異なるのはオペアンプの上下の飽和点が異なるためです。 電源電圧 9Vでの動作、キレイに出力されています。 |
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出力電圧範囲は電源電圧によって制限されます。5V電源の場合はゲインを落とすか入力電圧範囲を制限するかどちらかを選択しないといけません。 |
オシロよもやま話
昔40年以上前、アナログオシロ時代はリアルタイム表示ですので時々出る一発パルスなどの発見は無理で、安定して持続する波形しか観測できませんでした。一発パルスを測定するにはトリガーをあれこれ考えてディスプレイ(ブラウン管)の前にBバルブにセットしたカメラ(勿論フィルムです)を取り付ける必要がありました。アナログストレージオシロもありましたがいずれにしても貧乏アマチュアに手が出せる代物ではありませんでした。また鉄製筐体で奥行が長く大きい重たいものでした。デジタルが出始めると筐体はアルミ製になりますが、図体はもっと大きくなりテクトロニクスのTDS744Aや横河のDL4100等どちらも重さが15kg程あります。アルミ製でも重たくて大きくて容易に移動片付け出来ない代物です。またディスプレイはブラウン管ですがアナログ時代のベクター型の表示からNTSC等のラスター式(ブラウン管テレビ式)に変わりました。これに伴いブラウン管の長さは短くなりましたのでオシロ全体の奥行が縮まりました。それでも昨今の液晶ディスプレイとは比較できませんが。
今使っているAgilent54624Aは年代は上記より少し新しい(と言っても20年位は経っていますが)作りで7Kg程度、筐体はプラスチック(内側が金属メッキされています。静電シールドだと思いますが、こんなもので良いのか?今まで何だった、と思います。)で大きさも半分くらいになりました。表示は単色ブラウン管です。TDS744Aはカラーブラウン管なので見劣りがしますが大きさはそれに代えがたいです。出来ることなら液晶表示の現行品を購入したいものですが・・・。
DL4100と54624Aはバックアップ電池が寿命を迎えましたので取り替えました。と言っても代替電池は手にはいらないので隙間に適当な電池を入れたという感じですが・・・。TDS744Aはまだバックアップ有効で時計も狂っていませんがついでに取り替えようと試みました。ところが電池らしきものが見当たりません。どこにあるのでしょうか。
この時代のものは記録装置が昔なつかしのフロッピーディスクです。新品は手に入らないと思いますので使い回しの中古フロッピーディスクを大事に使用しています。未だに測定に関する性能は十分満足ですが記録が画面コピーだけと言うのは物足りません。取り込んだデーターは全部記録して欲しいものです。
手持ちで一番新しいのは2011年購入したPicoScope3204Aです。購入するまでは軽くて小さくて便利だ、と思っていましたが実際にはパソコン画面で見たり操作するのは若干不便に感じます。ただ取得データーを画面コピーではなくまるごと記録できますのですごく便利です。
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